メンタルヘルスエッセイ
- セーフティーネット(4) 2008年08月18日掲載:第80話
- セーフティーネット(3) 2008年08月15日掲載:第79話
- セーフティーネット(2) 2008年08月13日掲載:第78話
- セーフティーネット(1) 2008年08月11日掲載:第77話
- 酸素(3) 2008年08月08日掲載:第76話
メンタルヘルスエッセイ 第80話 セーフティーネット(4)
世界的な遺伝子(ゲノム)解読プロジェクトの成果によれば、
大腸菌のゲノムでは、ほとんどが蛋白情報に関するものだが、
人間では蛋白情報に関するものは、わずか2%程度であって、
残りの98%は、その調節制御に関わるものであった。
遺伝子は蛋白合成によって初めて、本格的な生命機能を発揮するが、
実際には、調節制御ゲノムの存在なくしては蛋白合成すら行えない。
そうした意味で、人間の遺伝子はセーフティーネットの塊とも言えよう。
(逆システム学:岩波新書を参照)
〜 writer : ろうたん 〜
メンタルヘルスエッセイ 第79話 セーフティーネット(3)
主治医の診断書があっても、就労の可否判断は産業医の助言が優先される。
復職可能か休職継続か、白か黒かを性急に求める人事担当者を見かけるが、
事は労働者の人生に関わる一大事、博打のように勝負する訳にはゆかない。
こうした企業では産業医が定着せずに、一年じゅう求人広告を出している。
産業医側も医学知識や臨床経験を、強調し過ぎることは控える必要があり、
会社側も、事業計画や人事案件ばかりを優先することは控える必要がある。
お互いがよく話しあって、試行錯誤を繰り返しながら、
進めてこそ初めて、セーフティーネットが機能するのである。
〜 writer : ろうたん 〜
メンタルヘルスエッセイ 第78話 セーフティーネット(2)
労働者の体に現われたリスクの兆候に対して、
一つのセーフティーネットとなるのが、いわゆる産業医の存在である。
ただしその際に、身体症状に対する医学的治療のみでは限界があり、
身体症状が持つ意味合いについて、よく考えてみる事も必要となる。
リスクが発生する背景には、しばしばモラルハザード(倫理の欠如)が存在し、
そうしたモラルハザードの出処が、労働者側か会社側かの見極めが難しい。
療養休暇や休復職措置などは、そうした判断を下すための猶予期間でもある。
〜 writer : ろうたん 〜
メンタルヘルスエッセイ 第77話 セーフティーネット(1)
元々はサーカスの綱渡りの際に、下に張られた安全網を指すらしい。
転じて政治経済学では、リスクを社会全体でシェアする意味で使われる。
人間の場合、最初のリスクの兆候は身体の違和感として現れる。
不定愁訴や全身倦怠感、血圧やコレステロールの異常など・・・、
いわば、体の内部(気持ち)と外部(環境)との軋轢とも言えよう。
飲酒・喫煙・過食などのライフスタイルは、違和感を和らげる緩衝材であり、
緩衝作用が及ばなくなるにつれて、徐々に生活習慣病が発症するのである。
(セーフティーネットの政治経済学:ちくま新書を参照)
〜 writer : ろうたん 〜
メンタルヘルスエッセイ 第76話 酸素(3)
ブドウ糖を酸素で燃焼して、エネルギーを得る過程を「酸化」と呼び、
「酸化」を単純化すれば、ブドウ糖から酸素へ電子が移動することである。
そして、電子を受けとった酸素が水と二酸化炭素に分解され、
その代謝プロセスで、ATPが計38単位生成される。
ブドウ糖をクライアントに、酸素をカウンセラーに、電子を相談内容に例えると、
クライアントが相談内容を、カウンセラーに話す(放す)ことで、
お互いの間に、共通したエネルギーが生まれてくる。
一人で悩んでいると、低酸素状態となってエネルギーも湧かないが、
カウンセラーと話す(放す)ことで、体の中に小さな火が灯り、
やがて炎が燃え盛り、生きる希望や力に全身が満たされるのである。
〜 writer : ろうたん 〜