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メンタルヘルスエッセイ


メンタルヘルスエッセイ 第5話  かしこい
「賢い」は、知恵がある・要領がよいの意。
「畏い」は、恐るべき性質や能力があるの意。
どちらも、同じ「かしこい」ではあるが、
頭が「賢い」、体が「畏い」と言う風に、使い分けをする。
今日こそは、頑張って学校へ行こうとしても、体が重くて起き上がれない。
張り切って早起きしても、会社が近づくにつれ、激しい下痢が止まらない。
頭は体をコントロールできないが、体は頭の暴走をストップできる。
さて、頭と体のどちらが、本当に「かしこい」のでしょうか。
〜 writer : ろうたん 〜

メンタルヘルスエッセイ 第4話  隈(くま)
毎朝、テレビで見かける女性アナウンサー。
日を追って、目の周りの「隈」が濃くなってゆく。
目の周りの皮膚だけが、その下に骨や筋肉などの支持組織がなく、
例えると障子のように、皮膚の健康状態が透けて見える。
皮膚は内臓の鏡なり、内臓疲労が血行不良として表れるのが「隈」である。
「隈」には、「心中に隠していること」の意もあって(大辞林より)、
お腹にたくさん溜め込んで、腹黒くなってしまう前に、
自分の本当の気持ちが、早く話せるといいですね。
〜 writer : ろうたん 〜

メンタルヘルスエッセイ 第3話  しびれ
月末が迫って来ると、左手のしびれを訴える、経理担当の女性。
上司から厳しく叱責され、翌朝右手がしびれて、挙がらない営業マン。
体の左側の症状は、心臓を中心とした循環系の負荷を、
体の右側の症状は、肝臓を中心とした代謝系の負荷を、それぞれ表している。
心臓は感情の座とも呼ばれ、不安や心配などの影響を、
肝臓は精神の座とも呼ばれ、苦悩や憂愁などの影響を、それぞれ受けやすい。
「今月の資金繰りや支払いは、大丈夫かしら」、
「俺はこの会社で、やって行けるんだろうか」、
こんな気持ちが、「しびれ」となって訴えているのかもしれません。
〜 writer : ろうたん 〜

メンタルヘルスエッセイ 第2話  虫垂炎
偶然にも、甲状腺の腫れている女性の面接が続いた。
問診欄をよく見ると、いずれも虫垂炎の既往がある。
一般的に男性に比べて、肝臓の働きが弱い女性は、
処理能力を越える負担が、甲状腺や卵巣に転嫁されやすい。
東洋医学によれば、虫垂のある辺りが「府舎」と呼ばれ、
「府舎」は、肝臓の経絡上の「ツボ」でもある。
「甲状腺の腫れる前兆は、既に小学生の頃にあったんですね」と私が伝えると、
その女性たちは、大きく頷いて職場へ戻っていった。
〜 writer : ろうたん 〜

メンタルヘルスエッセイ 第1話  散り際
高血圧・脂肪肝・糖尿病、はち切れんばかりの大きなお腹。
長らく、労働組合の書記長を務めてきたと言う。
耐え難きを耐え、忍び難きを忍び、人のために尽くす日々。
平穏無事に見える毎日も、こうした体の犠牲の上に成り立っている。
これまで何人も、こうしたクライアントと出会ってきたが、
共通しているのは、「散り際」の鮮やかさ・見事さである。
借金一つ残さず、介護の世話にもならず、周りに十二分の恵みを与えて、
ある日突然、この世を去ってゆく。
「あなたは心配ありません」、私はそう言って産業医面接を終えた。
〜 writer : ろうたん 〜

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